マウスピース矯正の種類は何が違う?選び方の判断軸

「マウスピース矯正」と一口に言っても、調べていくと国内で20を超えるブランドが見つかります。

ブランドが多いと「どれが自分に合うのか」が見えにくくなることがありますが、種類選びで最初に押さえるべきは「治療できる範囲」の違いです。

歯全体を動かせるマウスピースは限られた数しかなく、残りはすべて前歯中心の部分矯正用というのが大きな構造です。

全体矯正用のマウスピース

全体矯正用のマウスピース

マウスピース矯正は治療範囲で大きく2つに分かれます。

歯全体を動かせる「全体用」と、前歯中心に動かす「部分用」です。

種類の多さに惑わされる前に、まず全体を任せられるマウスピースは代表的に3ブランドあるという事実を押さえると、ブランド選びの見通しが一気にクリアになります。

全体用と部分用は何が違うか

全体用は親知らずを除く上下すべての歯を動かせるマウスピースです。

奥歯の噛み合わせも含めて整えられるため、デコボコの大きい歯並びや、抜歯が必要な症例にも対応できます。

一方の部分用は、前歯を中心に上下12本程度を動かす範囲に限定されます。

奥歯(6番・7番)は動かせず、抜歯を伴う矯正もできません。

「マウスピース矯正の種類が多い」と感じる原因は、この部分用ブランドの数が多いためです。

全体用と部分用は「対応できる症例の範囲そのもの」が違うため、自分の歯並びの状態によって選べる選択肢が変わります。

「どのブランドが優れているか」より、「自分の症例がどちらのカテゴリーに入るか」を確認するのが順序として正しい見方です。

全体矯正に対応する3つのブランド

国内で全体矯正に長く対応してきた代表的なマウスピース矯正は、次の3ブランドです。

近年は他ブランドも全顎対応プランを広げていますが、難症例まで対応できる設計と症例実績の蓄積では、この3つが先行しています。

ブランド 開発元 国内での流通状況
インビザライン 米国アライン・テクノロジー社 国内で広く採用されており、症例の蓄積が多い
クリアコレクト 米国ストローマン社 全体矯正に対応するシステムとして国内で導入されている
シュアスマイル 米国デンツプライシロナ社 学会発表・臨床研究の蓄積あり

3ブランドに共通するのは、抜歯を伴う矯正に対応できる点と、アタッチメントや顎間ゴム、拡大装置などの補助装置を組み合わせて、難症例にも対応できる設計になっている点です。

「先発で症例実績が積み上がっている」ことが、全体を任せられる根拠になっています。

同じブランド内の「パッケージ」の違い

同じブランドの中でも、症例の難易度ごとに治療パッケージが分かれています。

3ブランドのなかで国内に広く普及しているインビザラインを例にとると、軽度の症例向けの「ライト」、中等度向けの「モデレート」、症例範囲に制限がない「コンプリヘンシブ」などがあり、選ぶパッケージによって使えるアライナー枚数の上限と治療期間の見込みが変わります。

同じ「インビザライン」という名前でも、選ぶパッケージで使えるアライナーの上限・治療期間・費用が変わります。

「インビザラインの費用は○万円」という情報は、このパッケージのどれを指しているかで意味が変わるため、自分の症例に対してどのパッケージが提案されているかを必ず確認する必要があります。

部分矯正用のマウスピース

部分矯正用のマウスピース

部分矯正用に分類されるブランドは、アソアライナー、oh my teeth、hanaravi、Zenyum、エミニナルなど多数あります。

新しいブランドも次々登場している領域です。

部分矯正用に共通する特徴

種類が多いため違いに目が向きがちですが、部分矯正用のマウスピースには「動かせる範囲が前歯中心」「奥歯は動かせない」「抜歯を伴う矯正はできない」という共通の制約があります。

アタッチメントなどの補助装置の選択肢も全体用より少なく、難症例には対応できない設計です。

裏を返せば、軽度の歯並びなら短い期間・抑えた費用で治療できるのが部分矯正用の強みです。

治療期間は6数ヶ月〜1年程度、費用も全体用より低く設定されているケースが一般的で、結婚式や就職活動など期限のあるタイミングに合わせやすい選択肢になります。

部分矯正で対応できる症例とできない症例

部分矯正用が向いているのは、前歯のわずかなねじれや軽度の出っ歯、すきっ歯など、「気になっているのは前歯だけ」という症例です。

逆に、奥歯まで含めた噛み合わせのズレ、デコボコの大きい歯並び、抜歯が必要なほどスペースが足りない症例には対応できません。

カウンセリングで「全体矯正が必要」と診断された方が、費用を抑えたくて部分矯正用を希望されるケースがありますが、症例に合わない装置を選ぶと、見た目だけ整って噛み合わせが悪化したり、後から再治療が必要になる可能性があります。

部分矯正用は「症例が軽度であることが前提」の選択肢だと理解しておく必要があります。

自分に合うマウスピース矯正の選び方

自分に合うマウスピース矯正の選び方

ブランドを比較する前に、自分の症例がどのタイプに当てはまるかを確認するのが先決です。

診察前に目安を立てたい方のために、判断軸を3つに整理します。

1. 歯並びの乱れの程度

軽度の前歯のずれだけなら部分矯正用、デコボコや出っ歯が中等度以上なら全体用が前提になります。

鏡で前歯を見たときに「ねじれが1〜2本」「すきっ歯が前歯の数本だけ」程度なら部分矯正用の適応範囲です。

一方、「前歯と奥歯の噛み合わせがズレている」「デコボコで歯が重なって生えている」という状態は、全体用での治療を検討する段階です。

ただし、見た目の判断と歯科医師の診断には差が出ることが少なくありません。

「自分では軽度だと思っていたが、実際は奥歯の噛み合わせも調整が必要だった」というケースは診察でよく見られます。

最終的な判断は精密検査を受けてからになります。

2. 噛み合わせを動かす必要があるか

前歯の見た目だけ揃えればよい場合と、奥歯の噛み合わせまで含めて動かす必要がある場合とでは、選べる装置が変わります。

「噛むときの違和感」「片側で噛む癖」「顎が疲れやすい」といった症状があるなら、見た目以外の機能面の調整が必要な可能性が高く、全体用が前提になります。

逆に、機能面に違和感がなく、純粋に見た目だけが気になるケースなら、部分矯正用で済むこともあります。

3. 抜歯が必要かどうか

歯を並べるためのスペースが大きく不足している場合、抜歯を伴う矯正が必要になります。

目安として、歯が大きく重なって生えている状態の程度が強い、口を閉じても前歯が出てしまうほどの出っ歯、下顎が前に出ている重度の受け口といったケースでは、抜歯が選択肢に上がりやすくなります。

抜歯矯正に対応できるのは全体用の3ブランド(インビザライン・クリアコレクト・シュアスマイル)に限られます。

最終的な判断はレントゲンや口腔内スキャナーで顎の大きさと歯の並びを精密に分析する必要があるため、当てはまりそうな自覚がある場合は、全体矯正にも対応している医院で診察を受けるのが安全です。

部分矯正専門の医院では、抜歯が必要と判明したときに対応できないことがあります。

4. 最終的な判断は精密検査で確定する

3つの軸で目安を立てたら、診察で精密検査を受けて確定させます。

確認すべきは以下の23点です。

  • 自分の症例に対して、全体用と部分用のどちらの適応範囲か
  • 全体用なら、ブランドごとに分かれているパッケージのどれが症例に合うか
  • 抜歯の有無と、想定される治療期間・費用の幅

医院によって取り扱っているブランドは異なります。

複数のブランドを扱う医院で診断を受けると、症例に合う選択肢から提案を受けやすくなります。

治療の途中でマウスピース矯正のブランドを変えることはできるか

治療の途中でマウスピース矯正のブランドを変えることはできるか

原則として、治療途中でのブランド変更はおすすめしません。

マウスピース矯正は最初の精密検査をもとに全期間分の治療計画を立てて進めるため、別ブランドに切り替える場合は、新しいブランドで再度シミュレーションをやり直すことになり、治療期間と費用が大きく増えます。

部分矯正用で開始して途中から全体用に変える、または別の医院で別ブランドに切り替えるといった判断は、最初のブランド選びを慎重に行うことで避けられます。

まとめ

まとめ

マウスピース矯正の種類はブランド数こそ多いものの、構造を整理すると次のようなシンプルな見方になります。

  • 全体を動かせる代表的なのは「インビザライン・クリアコレクト・シュアスマイル」の3ブランド
  • 残りは前歯中心の部分矯正用で、奥歯や抜歯には対応できない
  • 自分に合うタイプは「歯並びの乱れの程度・噛み合わせの調整の有無・抜歯の必要性」の3軸で目安を立て、最終的に精密検査で確定する

朝霞フォレスト歯科・矯正歯科では、全体対応のインビザラインと、軽度・部分矯正向きのギコウアライナーの2ブランドを取り扱っています。

ワイヤー矯正・部分矯正にも対応しているため、「全体用が必要なのか、部分用で済むのか」「マウスピースとワイヤーのどちらが自分のケースに合うのか」まで含めて、診察と検査をもとに整理します。

種類が多くて選びにくい段階の方こそ、当院までお気軽にご相談ください。

監修者情報

朝霞フォレスト歯科・矯正歯科

院長 三浦和輝

患者さま目線を大切にした診察を心がけています。

治療は患者さまと医師がいっしょに進めていくものという考えのもと、毎回の診察を前向きに迎えていただけるよう、スタッフ一同精一杯取り組んでおります。

経歴

  • 奥羽大学 卒業
  • 奥羽大学病院にて研修修了
  • 歯内・歯周療法学講座 勤務
  • 医療法人 インプラントセンター 勤務
  • マウスピース矯正専門クリニック 勤務・院長就任
  • 医療法人本院 院長就任
  • 審美歯科専門クリニック 勤務
  • 朝霞フォレスト歯科・矯正歯科 院長就任

資格・認定

  • 臨床研修指導医
  • 日本歯科審美学会 所属
  • 日本歯周病学会 所属
  • 弘岡秀明 歯周病コース 修了
  • ストローマン エムドゲイン再生療法 認定
  • 日本国際インプラント学会 所属
  • ストローマン エステティックインプラントコース 修了
  • インディアナ大学歯学部 JIP-IU(インプラント科)修了
  • 日本矯正歯科学会 所属
  • 日本成人矯正歯科学会 所属
  • 日本舌側矯正歯科学会 所属
  • インディアナ大学歯学部 JOP-IUSD(矯正科)修了
  • 斎藤歯動塾 アドバンスコース 修了
  • インビザライン 認定医

【マウスピース矯正に関する重要事項】

マウスピース矯正は自由診療です。

  • 治療内容:透明な薬機法上のオーダーメイド矯正装置(アライナー)を1日20時間以上装着し、1〜2週間ごとに交換しながら歯を少しずつ動かす矯正治療
  • 治療期間・回数:ケースの難易度により大きく異なります。全体矯正で1年〜1年半程度、軽度のケースで半年程度が目安(個人差あり)
  • 費用の目安:当院の料金はマウスピース矯正(インビザライン)770,000円、ギコウアライナーは1装置あたり27,500円(初回上下セット33,000円)で、治療に必要な枚数で総額が決まります(例:上あご6枚で165,000円)(すべて税込、検査・調整料込み)。料金はクリニックによって異なります
  • リスク・副作用:装着初期の痛み・違和感、発音への一時的な影響、装着時間が不足した場合の治療期間延長、虫歯・歯周病リスクの増加、計画通りに歯が動かない場合のリファインメントの必要性、歯根吸収の可能性

【使用する装置について】

当院で使用するインビザライン(米国アライン・テクノロジー社製)およびギコウアライナー(株式会社GIKO製)は、いずれも日本国内の薬機法(医薬品医療機器等法)上の承認を得ていません。

  • 未承認医薬品等であること:上記の装置は日本国の薬機法上の承認を得ていない医療機器です
  • 入手経路:医師の個人輸入により入手しています
  • 国内の承認医薬品等の有無:同一の性能を有する国内承認品はありません(国内で作製されるカスタムメイド矯正装置は歯科技工士法上の技工物として歯科医師の指示書により作製されます)
  • 諸外国における安全性等に係る情報:インビザラインは米国FDA承認(1998年)を取得し、世界100ヶ国以上で使用されています。ギコウアライナーについては諸外国の承認情報が確認できないため、重大なリスクが明らかになっていない可能性があります
  • 副作用被害救済制度の対象外:万が一重篤な副作用が生じた場合でも、医薬品副作用被害救済制度の救済対象にはなりません